東京の田端にある田端文士村記念館にて開催の企画展

正岡子規の系譜  ~ 田端の歌よみたち

に行ってきました。

こういう記念館では、
整えられた出版物にはない生の声が聞けて、
彼らの人間臭い生き様に愛おしさを感じたり、

直筆の手紙などから
作家同士の色々な交流っぷりを
垣間見られたりするのが大変楽しいです。

展示スペース自体は小さめですが、
美術品とは展示の仕方が違って、
ガラスケース内に展示品がぎっしり並んでる状態で情報量多すぎ状態。

なので、見る方の興味の方向性により
色々発見がある感じと思うのですが、
私が今回心に残ったのはこちら3つ。

芥川龍之介の家復元模型

芥川に興味のある人はもちろん、
大正時代の建築様式ですからして、

「鬼滅の刃」の柱の屋敷ってこんな感じでは?

みたいな楽しみ方もできるわけです。

田端だから、しのぶさんの実家(滝野川)に近いのもなんだかまた聖地っぽくて吉(?)。

写真撮影は禁止ですが、見所を紹介したパンフレットがありました。

病床にありながらの正岡子規のエネルギッシュさ

一つ前に書いたブログで
メジロと桜を描いた正岡子規の俳句などを引用しておきながら、
ベースボールを野球と訳した人
=野球好き
=スポーツ好きの文学者くらいの認識ですみませんでした。

彼の業績は、ほとんど病床にて作られたものだったとは。

そう考えると、この短歌などは、
まさに寝ている状態での観察によるものだと気づきます。

瓶にさす藤の花ぶさみじかければたゝみの上にとゞかざりけり

正岡子規

改めて調べてみると、
実際にこの歌が記載されたのは『墨汁一滴』という、新聞連載の文章とのことで、
添えられた文章に「仰向に寝ながら」とありました。

没年を空白にした自分の墓碑も準備していたくらい
余命を意識しながらの日々で。

実に様々な作品を残し、後進を育て。

すごい方だったのだなと思います。

芥川って北原白秋のことをそんな風に……

鎌倉に芥川が滞在していた時代に詠んだ歌に、
与謝野晶子・吉井勇・北原白秋・斎藤茂吉の4者の作風を真似た作品というものがあり、
今回それが紹介されていました。

つまり、二次創作?みたいなもの、かと思います。

表現の幅を広げるための試みかなぁと思って
面白く読んでいたところ……。

自分ほんと、文学者について表面的な知識しかなかったんだなぁと
恥じ入ってしまうのですが……。

北原白秋を真似た作品で、英語表記ではあるのですが、
直球で艶めいた意味でセンシティブな言葉を使っていて。

白秋ってそういう言葉を使う歌を作るって芥川に思われているんだ⁈と、
白秋の童謡のお仕事くらいしか知らなかったのでびっくりしました。

「北原白秋君のビフテキも、やはり、うまいのに違ひない」

と書いた、芥川が親しい人々を「食べる」としたらどんな食べ方がいいか……
を書いた文章もあるので、
そういう扱いもできるような気のおけない間柄だったのかと思いました。

その他、初公開だという斎藤茂吉から芥川龍之介への葉書などもあり

あと、これも色々なクラスタさんには嬉しいんじゃないですかね?

初公開と記載のある、大正八年の斎藤茂吉から芥川龍之介への葉書。
写真はチラシを撮影しました。


芥川の文章を読んだことを彼に伝える内容の斎藤茂吉からの歌入りの葉書とのこと。

実は記念館見てる時、これブログに書こうと思った内容を簡単にメモだけしていたのですね。
有名作家だし、ググったらどこかに歌の内容とか乗ってるでしょうみたいに思ってて。

しかし、特に鎌倉4首とか、あと、初公開のものとか当たり前ですけれど、
ネット上に情報など、無い!

興味関心があるものは、機会があったらやっぱり直に見ておかないとですね!